最近、ネットやテレビで「FIREムーブメント」という言葉を目にする機会が増えてきました。
ではなく、アメリカの若い世代を中心に流行している「ムーブメント」の名前です。
参照:米で話題“30代、40代からの早期退職”|日テレNEWS24
もくじ
FIRE(ファイアー)ムーブメントとは?
FIREとは?
Financial(経済的に)
Independence(独立して)
Retire(リタイヤ・退職)
Early(早期・早目に)
頭文字をとって「F.I.R.E」
日本語に訳すと「経済的に独立して早期リタイヤする」という意味になります。
たぶんFIREという単語が使われているのは偶然ではなく「自らクビになる(会社を辞める)」みたいな意味合いが含まれているのかもしれないですね。
FIREってどんな生き方?
日本で「早期リタイア」といえば、思い浮かぶのは大橋巨泉さんではないでしょうか?
往年のテレビタレントだった大橋巨泉さんは、まだ元気なうちに芸能界を「セミリタイア」したことで有名です。
セミリタイアとは?
まだ元気な時に引退し、それまでに貯めておいたお金で悠々自適に暮らすこと。大橋巨泉さんが定着化させた言葉として知られています。
ですが、彼の場合は病気もあったし、既に50歳近くなってからの「セミリタイア」なので「ファイアームーブメント」とは異なりそうです。
アメリカのFIREは20~30代で退職することを指す言葉みたいですね。
参考:20代、30代でリタイアする「FIREムーブメント」が流行ってる | ギズモード
ミレニアル世代に支持されるこれからの新しい生き方「FIRE」 - AMP[アンプ]
上記事で書かれた人たちは皆、1億円以上の貯蓄をしてからリタイアしたそうです。
超高収入じゃなくてもFIREできる?
と思われるかもしれませんが、この話は高収入エリートに限った話ではありません。
この動きは、かつて金融やテック業界で高給を稼ぐ人たちに限られたものだったが、昨今は教師、看護師、ファストフード店の従業員などにも広がっている。-AMP
看護師やマックの従業員が賃金だけで1億円貯められるとは思えませんし、生活費の安い地域に引越すといっても、勤め人を辞めた後じゃないと現実的じゃなさそうです。
「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」という本には、アメリカで若くしてセミリタイアしている人たちが実践している、収入の2~8割(!)を投資に回して、時間を味方につけて資産を増やしていく方法について書かれています。
FIREムーブメントの「リタイヤ」は「引退」とは違う?
人によってFIREの定義が若干違うので定かではありませんが、ここで言う「リタイア」とは「引退(もう働かない)」とはちょっと違うみたいです。
そうでなければ、さすがにマックの従業員の収入だけで早期リタイアはできないはずです。
(アメリカのマック従業員の賃金は日本の一流企業並みに高いのかもしれませんが)
早期退職といっても、まったく働かないわけではない
つまり「高給だけど重労働」の勤め人を卒業して、気づいた資産をうまく使って生活していくことが「FIRE」。
さきほど「大橋巨泉はセミリタイアだからFIREとはちがう」と書きましたが、年齢以外のポイントでは似ているのかもしれません。
「早期リタイア」を実現した人が、ノウハウをブログに書いて広告収入を得ているケースもあるらしいです。
FIREムーブメントの種類
FIREにもいくつかタイプ(型)があるみたいです。
「Savvyに生きる」というサイトによると、
- 節約重視のスリム型FIRE
- 増収入重視のファット型FIRE
2種類あるとか。
別記事でリタイア後に(健康保険のために?)スターバックスでバイトする人のことを「バリスタ型FIRE」と呼んでいたけど、これは半分ジョークだと思います。
ファット型(収入をガンガン増やして貯蓄する)はあんまり現実的じゃないような気がします。記事に「25年分の生活費を貯めればFIREできる」らしいですが、それなら収入を増やすより、節約して生活費を減らしていった方が実現可能性は高そうです。
FIREムーブメントを日本語訳すると「脱社畜」?
イケダハヤトさんと正田圭さんが主催するオンラインサロン「脱社畜サロン」というのに参加しています。(追記:現在は別の名前で、違う方が経営して続いています)
「FIREムーブメント」も、けんすうさんがサロン内で共有してくれた記事で知りました。
そのとき「FIRE(経済的に自立して早期退職)って脱社畜に近いのかな」と思いました。
「FIRE」と「脱社畜」だと語感はかなり違いますが、意味合い的にはそれほど遠くないと思います。
FIRE関連の書籍
「FIREムーブメント」関連の書籍を紹介します。
FIRE 最速で経済的自立を実現する方法
こちらは2019年12月発売の新しい本。著者はグラント・サバティエさんという方で、この方はもちろん?「FIRE済み」です。
本には「100万ドルの資産を作るための計算方法」みたいな公式も書かれています。
兎にも角にも無駄遣いしないことがFIREに通じる、という割に窮屈な考え方な気もしますが、興味深く読みました。
プア充 ―高収入はいらない― 島田裕巳
こちらは日本の話。筆者の島田裕巳さんは宗教学者です。
「過酷な労働環境を回避して豊かに暮らす方法」が物語(フィクション)ベースで語られている、分かりやすい読み物です。
かいつまんで内容を説明すると、
ブラック(に近い)企業で働く若いサラリーマンが、会社の倒産をきっかけに転職を余儀なくされる。迷った末に彼は、次の職場に
- 前職より収入はやや下がる
- 残業がほとんどなく
- 人間関係もゆるやか
という環境を選びます。結果、自炊で食費が減るなどして生活水準は下がらず(自由な時間がある分、むしろ良くなった)精神的にも豊かになっていく、という話です。
偶然ですが、ぼくはこの本の主人公(?)と同じような経験があります。
ブラック企業→転職→給料低いけど、ゆるい職場→その後いろいろ好転(結婚など)
転職先は「ダサい会社」を選ぶといい。
という考え方は目から鱗で、自分が転職する際も参考になりました。
これからの働き方を考える上で、参考になる良書です。
なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。 家入一真
こちらは起業家でエンジェル投資家でもある家入一真さんの著書。
今後は、国や大きな自治体が主導し、いわゆる既存経済の力は弱くなっていく。そのかわりに地域やコミュニティだけで扱われている通貨や、物々交換的な「貨幣を介在させない経済」が同時並行的に発展していく、というような未来予測の内容を含んだ内容です。
「貨幣を介在させない」といっても、テクノロジーが生き渡った世界では、昔ながらの「ムラ社会の物々交換」とは役割がぜんぜん違ってきます。
トークンと呼ばれる仮想通貨の一種を使ったり、ソーシャルネットワークサービスの信用が貨幣よりも大きな価値を持つようになると言われています。
こちらも良書なので、まだ読んでない方はぜひ。
おわります。
いわみ(@iwamishinji)でした。